インタビュー

クリエイティブディレクター

田中 淳一


写真集の発案者は田中さんだとお聞きしました。どういう想いから写真集を作りたいと考えたのですか?


昨年、2017年度全国和牛能力共進会で宮崎牛が肉牛部門で史上初、内閣総理大臣賞を3年連続受賞したことをプロモートする “宮崎牛赤富士”を企画しました。公開された動画は、国内だけでなく海外からも注目され、いい意味で宮崎牛を目立たせるきっかけになったかなと思いました。

この注目が集まっている機運をキープしながら次の手を考えて欲しいという依頼が来た時、僕の中では自然と今度は作り手の方の物語を届けようと思いました。宮崎牛日本一をインパクトを持ってお伝えした余韻がある中で、その宮崎牛が持つ宮崎だから紡がれるストーリーを伝えたいなと。
和牛のプロモーションとなると、どうしても味や見た目にフォーカスされがちですが、そこに到るまでの宮崎の個々の畜産農家さんたちの牛との暮らしこそが、宮崎牛が生まれる源泉であり、その物語を楽しい形で伝えることができればもっと多くの方に宮崎牛のファンになってもらえるのではと思いました。

その物語の表現方法として、市井の人を撮らせたら抜群の写真家、浅田政志さんとつくる写真集が最適だと考えました。
正しく畜産農家さんの姿を切り取るだけでは、なかなか一般の人たちは見てくれません。作家性の強い写真家、浅田さんの作品の題材として宮崎牛を育てる家族をテーマにしてもうことで、宮崎牛が持つ物語をコンテンツ化して届けようと思い、写真集“宮崎牛家族”を企画しました。




田中さんも写真集の取材に立ち会われたそうですが、宮崎牛を育てる農家さんを実際に見られて、どんな印象を持たれましたか?


西都と県北の撮影に立ち会いました。
西都では、お昼どきにお邪魔したのですが、僕ら撮影隊の分までカレーやら、バーベキューやら準備していただいて。ご夫婦のお母さんも一緒になって、本当に温かいおもてなしをしてくれて。
お母さんはすごく親しくしてくれて「もう田中さんと私は親戚だから、今日は泊まっていきなさい!」なんて言ってくれて。お昼に出してくれた宮崎マンゴーに浅田さん含めみんな感動していたら、帰りにひとり1個ずつマンゴーを手土産に持たせてくれて。
あー宮崎の人ってこうだよなーって、自分の故郷ながらすごく誇らしい気持ちなったのを覚えています。

僕は仕事柄全国の地域を巡っているのですが、宮崎人の暖かさ、特に、宮崎牛を育てている人たちのあの朴訥とした優しさは、宮崎の愛すべき貴重な宝だと思います。

あとは、みなさんの牛を育てるプロとしての矜持は、すごく勉強になりました。餌のやり方、毛並みの揃え方、牛の休ませ方など、さまざまな点において、誰ひとり同じようなやり方をしている人はいなくて。
みなさんそれぞれに試行錯誤しながら、経験を積み重ね、知識を蓄え、技術を磨き続け、プロフェッショナルとしてのプライドを持って仕事をしていて。ある意味ものすごくクリエイティブだなと。自分自身の仕事の向き合い方にもとても刺激になりました。




この写真集のどういうところを見てほしいですか?


まずは12の家族と高鍋高校生の牛との向き合い方を感じて欲しいです。
「牛も家族だから」、帯にも書いたこの言葉は、畜産農家さんの言葉です。みなさんそれぞれにカタチは違うけれども、深い愛情を持って牛に対峙しています。

また牛もその愛情を感じとって生きている。

浅田さんが撮ったそれぞれの写真は、育てる牛も含めて家族、という視点にあふれていて、“宮崎牛家族”というタイトルに込めた想いが一枚一枚に宿っていると思います。そして、日本中で家族の形が多様化する中で、こんなにも微笑ましく、たくましく、仲睦まじい家族の形があるんだということも見て欲しいです。
もちろん、家族のあり方は人それぞれでいいと思いますが、僕は見ていてすごく羨ましくなりました。

僕も仕事に疲れるとつい“宮崎牛家族”を手にしてページをめくっている自分がいて(笑)。
いろんなことに疲れてる時にもオススメの1冊だと思います!







クリエイティブディレクター

田中 淳一(株式会社POPS代表)

宮崎県出身。早稲田大学第一文学部演劇専修卒業。ADKにてほぼ全業種の商品広告、企業ブランディングを担当した後、2014年にCreativity for Local, Social, Globalを掲げPOPS設立。松山市、鳥取市、今帰仁村、登米市、延岡市等のシティープロモーションなど30都道府県以上で自治体やローカル企業、NPOを手がける。グッドデザイン賞受賞展2015~17クリエイティブディレクター、長編コンテンツの脚本など活動領域を広げている。国内外広告賞50以上受賞。国際広告祭審査員歴、各地での講演歴、多数。東北芸術工科大学講師







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