農家探訪記

山本家

瀬戸内の蛸壺漁師から一転、宮崎で牛養いへ。嘉寿視さん率いる山本家は、奥さまの美也子さんとふたりの娘さんも家業を手伝う女系一家だ。「生まれたときから世話していかんと理想の牛はできん」というポリシーの元、繁殖から肥育まで一貫して行なっている。母牛が子を思う気持ちは女性の細やかな気配りで、たくましい肉牛は男気ある気っ風のよさで育てる。山本家のバランスのよさを体現したかのような牛たちは、凛として勇ましい。

 

品格のある牛は、顔のつくりがよく、雌らしい骨格。腰幅、尻幅、お腹の形、毛質もすべて理想的な形をしている。昨年の春に、品評会で優等賞を獲った三女の夏実さん。「夏実には先見の明がある」と、嘉寿視さんが感心するほどの感性と手間暇と、愛情をかけて。

 

「夏実はおれの後継者や。お前は牛養いできるんか?」。嘉寿視さんの問いに「はい、できます!」と自信たっぷり応えた義理の息子・高弘さん(右)。毎日休憩もほとんどせずに、熱心に働く。夏実さんが育てた子牛を「おれが立派な成牛に育てちゃるけん!」と頼もしいセリフも。ふたりに共通する性格は“負けず嫌い”。

 

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