大きな刈払機を抱えて草刈り中の賢二さんの母・ヨシ子さん。嫁入り当時は朝5時に起きて、大きな桶に湯を沸かし、藁を煮て柔らかくして牛の餌をつくっていた。家業を賢二さんに託した今は、毎朝、孫とテレビのチャンネル争いをするのが楽しい日課だ。
地形的に大きな機械が入らないため、引き受けた田んぼの数だけ、トラクターの数が増えていったという。
息子のだいち君はお父さんが大好き。棚田の景色を眺めながら、リンゴ色に染まる頬でうれしそうに、学校であった出来事を報告中。
「牛養いをやっとると、いいときも悪いときもある。そんなもんよ」と笑う、賢二さん。大自然の中で暮らしていくために、昔の人々が粛々と築いてきた美しい高千穂の風景。この景色の中にいると、賢二さんのようにおおらかな気持ちが生まれてくるのかもしれない。
※写真集で、本編をお楽しみください。